日本刀の業物

業物、という言葉を聞いたことがあるかと思います。日本刀の切れ味についてのことです。現在、日本刀は美術品として美術館や博物館に飾られていますが、日本刀を帯刀していた時代は自分の身を守るために抜刀し、戦うこともありました。そのため、業物を求める武士は多くいたでしょう。

日本刀の業物は四種類に分けられ、切れ味によって「最上大業物」「大業物」「良業物」「業物」となっています。これは「懐宝剣尺」「古今鍛冶備考」が有名です。
内容としては、南北朝期以前に造られた日本刀は数多くの戦乱を潜り抜けた名刀のため、切れ味は保証済みのため除外されています。試し斬りをする機会が少ない刀工の日本刀も、データが少ないため除外されています。新々刀も掲載されておらず、幕末志士と新選組の頃の日本刀についても掲載されていれば、また違った結果になっていたのやもしれません。

江戸幕府には首切り役人がおり、試し家である山田浅右衛門のいる山田家が務めていました。しかし、首切り役は無償で行っており、本業は試し斬りを行う試し家でした。そのため、斬る技量に秀でている山田家に幕府は首切り役を任せていました。ただ、状態のよい死体を手に入れるために山田家から幕府に首切り役を進言した、という説もあるようです。
ちなみに、山田家では試し斬り以外にも人の内臓を主原料とした薬を販売していたため、資産も莫大だったようです。

最上大業物の中には有名な「和泉守兼定」が格付けされています。新選組副長、土方歳三も愛用していたわけです。
日本刀の試し斬りは「日本刀の銘」でも簡単に説明した通り、江戸時代に行われ、罪人の死体を斬っていました。部位によって変わり「上腋毛中二下三 三つ胴落(三つ体を重ねて切り、一番上の体はわき毛、真ん中は二の胴、一番下は三の胴の部分が切れた」と懇切丁寧に説明を切った銘もあります。様々な部位を斬ることで、その切れ味を見極め、業物として伝えてきた歴史を垣間見ることができます。

日本刀のアレコレ

日本刀愛好家による日本刀のあれやこれやを紹介! 所持のルールや手入れのやり方から処分、売買のやり方まで日本刀の疑問すべてを紹介していきます。

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