日本刀と拵え2

前回「日本刀と拵え」では『天正拵え』について紹介しました。戦国期の品格を持った拵えは多くの大名に好まれました。今回は江戸期に広がり、藩ごとに様式を変えていった「お国拵え」について簡単に紹介します。今回は「肥後拵え」についてです。


肥後拵え
打刀拵えであり、天正拵えとともに人気のある拵え。肥後国のお国拵えであり、肥後の金工の刀装具を使用している。「歌仙拵え」などが有名。

戦国期が終結に向かい、天下統一の時代になる桃山時代の文化には、権力を象徴し黄金の世界を受け継いだ「金碧画」と侘びという事足らぬ世界を美学とした「茶湯」の文化が生まれ肥後拵えは千利休の茶湯の世界を師事している。肥後拵えは江戸から離れた九州で造られ、時代の流行に流されることなく受け継がれていった。

拵えのなかでも、特に鍔に茶湯の世界が表現され、千利休の美学の一つが表現されている。また、肥後拵え独自の刀装具に「馬針」と呼ばれるものがある。馬で遠乗りした際、うっ血した馬の血行をよくするために、首筋や脚などに刺し、悪い血を出す道具である。


以上が肥後拵えについてです。豪華絢爛な拵えとは違い、落ち着きのある拵えになっています。そのため、平常差しの愛刀に肥後拵えの落ち着いた拵えを差す武将は多くいたとされています。

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